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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

【UTTOCOな人】坂田卓也さん_vol.30 2018


24号線沿い、両替町を少し入ったところにある「坂田卓也製作所」。そこでは、家具や生活用品が作られ、展示されています。

 今回は坂田卓也製作所の坂田卓也さんにお話を伺ってきました。どのような家具をつくっておられるのか、家具職人についてなどいろいろお聞きしてきました。

無垢材で家具をつくる

Q:坂田卓也製作所さんはどのようなことをしておられるのでしょうか。

 木の素材を使用して、家具や生活用品をつくっています。家具がメインになりますが、木の端材などを利用してスプーンなどの生活用品もつくっています。無垢材がメインですが合板も使用します。無垢材は、合板や集成材ではなく、丸太から切り出した木材です。気温により曲がったり、傷や割れが入りやすかったりするのですが、それが木の表情に影響を与えます。また、反ったり縮んだりする方向も考えながら木を使います。少し傷ができたとしても、それが味になると捉える方も多いですし、直すことも可能です。

 合板は、原木を薄くはいでつくった単板を何枚も積層し、接着剤で貼り合わせて1枚の板にしたものです。椅子の座面や背もたれの曲げ合板も型を作ってこちらで作成しています。合板がいい、無垢材がいいということではなく、用途によって木を使い分けることが大切だと思っています。

Q:家具を1からつくるというのはとても大変な作業のように思います。デザインや家具をつくる工程はどのようなものになるのでしょうか。

 家具のデザインも自分たちで行なっています。新しく家を建てられたときに、家を設計した設計士さんと施主が一緒に来られてうちあわせをして作り始めることも多いです。設計士さんは、家全体のバランスをみて、「ここがこうだから、家具はこういうかんじにしてほしい」とオーダーしてくださいます。

 家具は設計する段階で、いつ何をつくり、どう組み立てていくか工程を考えていきます。そのため家具の設計にはとても時間がかかります。

 家具のそれぞれのパーツを形にする前に、大きな板から角材にする木取りと言う作業をしますが、数ミリの狂いも許されません。狂うことで組み立ての段階で設計が破綻して家具が作れなくなるからです。家具の大きさや種類によって、作成期間はかわってきます。すでに何度か作ったことのあるものは型があり、作業工程がみえているのでスムースですが、初めてつくるものになると試行錯誤しながらつくります。

(お皿やスプーンなどの生活用品も置いてあります)

独学で家具作りをスタート

Q:もともと家具職人になろうと思っていたのですか?

 母が美術の教師をしていたり、祖父が絵を描いたりしていたため、子供の頃から美術や芸術が近くにありました。民族学博物館や日本民芸館、美術館などが近所にあり、よく行っていました。人が生活するなかで使う道具、生活用品にも興味があったんです。

 大学は京都の芸術大学に通いましたが、彫刻を専攻しており、家具は作っていませんでした。美術をこのままやり続けるかどうか迷っていたときに、デンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーの椅子を見て、「自分もこういう椅子を作りたい」と思ったのがきっかけです。また、家具などをつくる工芸の先生とたまたま親しくなり、自分にもできるかもしれないと思えたのも大きかったです。もともと家具が好きだったのかもしれませんし、まわりに家具に関わる人がいたことも影響を受けているのかなと思います。

 一般的に家具職人になるには、職業訓練校に行ったり、家具製作の会社で働いたりといったルートが多いですが、僕は独学で家具作りを始めました。銘木屋さんでバイトをしているときにもさまざまな人と出会い、そこでいろいろなことを教えてもらいました。バイトをしている期間は短かったですが、辞めてからも木を買いに行ったり、わからない事を聞きに行ったり、機械を借りたり、こそこそ通っていました。

Q:家具をつくるときに大切にしていることはなんですか?

 木の持っている表情を大切にすることです。手を加えすぎないほうがいい時もありますし、手を加えるほうがいい時もあります。木がもともと持っている表情を活かしながらつくっています。シンプルなデザインなのに実は複雑なことをしているほうが僕は好きなので、手数が多いと感じさせないようにしたいです。

自分のデザインをつくる

Q:住宅街にひっそりとある工房ですが、このような場所に工房があるのは珍しく感じるのですが、いかがですか。

 家具をつくるときに使用する機械音が大きいため、作業場は山奥にあり、多くの人に家具見てもらえるように展示するショールームは街中にあることが多いです。

 でも、作業場とショールームが一緒になっている方が良いなと思っていたときにこの伏見の物件を見つけました。「ちょうどいいな」と思い、2015年にこの場所に移ってきました。 2階のショールームは、自分たちで床を張ったり、壁を塗ったりと改修しました。土日は開けており、ふらっと寄っていただけるようにしています。

(2階のショールーム。坂田さんが作った素敵な家具が並びます。)

Q:今後の夢や目標はありますか。

 今後は、「自分のものになった」というもの、「それは今までなかった」というものをつくりたいと思っています。今は、オーダーいただいたものとラインナップの家具を半々くらいでつくっています。オーダーいただいたものをきちんと作っていくことも大切にしながら、自分の創作活動もきちんとしていきたいと思っています。1番はじめにつくった椅子が今でもコンスタントに1番売れています。悔しいですね。笑

坂田卓也製作所

〒612-8082

京都市伏見区両替町15丁目138

ショールーム営業日:土、日(平日は予約制)

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