VRやDXなど技術が進歩したことでさまざまなことが便利になり、今までできなかった体験ができるようになってきました。みなさんも体験されたことあるのではないでしょうか。
そのような技術を以前からさまざまなシーンで活用されている株式会社イザン。今回は社長の井上浩二さん、執行役員の藤井真鈴さん、インターンシップの東條真奈さんにお話をお伺いしてきました。
技術を通して、「違い」を提案する
Q.どういった経緯で株式会社イザンは誕生し、今の3D技術などを活用した事業展開になったのでしょうか。
(井上さん)
以前は、人材系の会社で働いており、求人広告の作成や合同説明会の企画・運営、インターンシップの導入など、組織づくりで基礎になる部分を担っていました。そのなかでさまざまな仕事や役職を経験し、自分で事業を始めることにしました。
起業当初、国をあげてインバウンドに取り組む機運が高まっていました。自分が持つ、人を集める・育てる力を活かして、宿泊施設の運営や新しく宿泊施設を立ち上げる人をお手伝いする事業を始めました。それが今の会社の前身になります。
多くの宿泊施設を手掛けるなかで、それぞれの違いを明確に伝えること、理解してもらうことが難しいと感じていました。違いを伝える手段を模索していたところ、現地の様子をまるでその場にいるかのように伝えることができる3Dツールがあることを知り、導入しました。この技術は、宿泊施設以外にも応用できると思い、2019年頃に会社のメイン事業として展開し始めました。
現在、株式会社イザンは、主にメディアテクノロジー事業、旅に関する事業、人材に関する事業の3つを手掛けています。旅に関する事業は、以前からのお客様もいらっしゃいますので、事業は継続しています。さらに、学校でキャリアに関する授業を担当したりや合同説明会などのマッチングイベントを開催するなどして人材系の仕事も積極的に展開しています。
Q.そういった技術があることで、現地にいかなくても情報が得ることができるようになりましたよね。とても便利でさらに活用していきたいと考えておられるのでしょうか。
(井上さん)
メディアテクノロジーの事業は、私たちにとって目的ではなく、手段です。本来のやりたいこととしては、「物の優劣」ではなく、「物の違い」を知ってもらうためのお手伝いとそこに関わる人の応援です。これが当社の事業テーマになっています。
私たちは、お客様に対して、開発者やエンジニアとして接するのではなく、お話を伺った上で提案するためのわかりやすいツールの1つとして今のサービスを提供しています。他の業者と異なる視点で提案できるところが私たちの強みであり、存在している意味だと思います。
(撮影時の正確さというアナログな部分が、デジタルを支えています)
大切なものを次の世代に伝えるために
Q.技術がさまざまなシーンで活用されているなか、思いを残すプロジェクトとして「NOKOSUプロジェクト」を実施されています。こちらはどのようなプロジェクトになるのでしょうか。
(井上さん)
まちにはたくさんの思い出が詰まっています。昔よく訪れた本屋さん、喫茶店、床屋さんなどは、時代とともになくなってしまうこともあります。そこには、お店の方や地域の方々の思い出があります。このプロジェクトの趣旨は、そういった思いも含めてアーカイブし、後世に残すことです。
今後、技術は進化していくので、今の形にこだわらず、新しい技術を用いていきたいと考えています。懐古主義としてではなく、新しい技術をどのように活用するかという可能性を探っていくことができるとおもしろいですよね。
(納屋町商店街も「NOKOSUプロシェクト」に賛同・ご協力されています)
Q.「NOKOSUプロジェクト」の発端は、藤井さんが当時インターン生だった際に制作された、滋賀県のおばあさんの家とお伺いしました。どのような思いで制作されたのでしょうか。
(藤井さん)
「空間の思い出のアルバムを作りたい」という趣旨でプロジェクトを始めました。現在は、祖母が1人で暮らしており、今後どうするかという問題もあるなかで、祖母の生きている証やこの家の歴史を伝えるため、昔の写真をすべてスキャナーでスキャンし、デジタルアーカイブの中で、閲覧できるようにしました。同時に、デジタルアーカイブを閲覧した人が家を見て回ることで、祖母の歴史がわかるように情報を入れるなどの工夫をしました。
祖母には、この技術が少し難しかったようですが、息子にあたる私の父や親戚たちは喜んでくれました。「いつでもおばあちゃんの家に帰ってこれるね」と言ってもらえ、デジタルアーカイブという形で残すことの重要性を感じてくれていました。また、このデジタルアーカイブを見た方から、「この技術を知っていれば、私の家も保存したかった。。。」と言ってくださる方もいました。建物を残していきたいけれど、やむをえず壊してしまった方も多いのかもしれません。
NOKOSUプロジェクト:https://www.nokosu.pro/
多様さを尊重し、伝えていく存在として
Q.株式会社イザンの特徴の1つに、働き方もありますよね。スタッフのみなさんがリモートワークをされているとのことですが、オフィスはもっておられないのでしょうか。
(井上さん)
私たちは、自分がオフィスだと定義するところがオフィスだと考えています。最近も、以前まで宿泊施設事業を担当していたスタッフにお子さんが生まれたため、従来のような働き方が難しくなるというケースがありました。自宅でできる仕事にチェンジし、活躍できる環境を整える予定をしています。そのため、我々はどこでもオフィスになり得ると捉えています。
集まって、話をしたり聞いたりする場も必要になることがあるため、活動拠点を設けています。いわば、部室のようなイメージです。「いまどきの働き方ですね」と言われることもありますが、本質的には私たちとしての考え方があり、この形を選択しています。
Q.実際に働いておられる方としては、株式会社イザンの働き方はいかがですか。
(藤井さん)
私は、就活が働き方や生き方を考えるきっかけになったと思っています。そのなかで、自分にあった働き方や生き方は何かを考えた時に、「自由であること」が1つの基準になりました。
さまざまな自由の定義があるなかで、「株式会社イザンの自由さ」がおもしろく、魅力的に感じました。今までにない働き方の視野をもらえました。今後は、私たちのような働き方もあるということを伝える側になっていきたいと思っています。
(長期インターンシップの受け入れも積極的に行っています)
Q.個人として、会社としてのこれからの展望を教えていただけますか。
(藤井さん)
私個人としては、先ほどお話しした通り、働き方のロールモデルになりたいと考えています。現在、私は24歳でとてもユニークな働き方を実践しています。代表の近くで直接学びながら、新しいことを吸収する環境はなかなか得難いものだと感じています。私の経験を通して、同世代や学生の方に働き方について伝えることができればと思っています。
志を持ち、働き方や生き方を考えている方が多くいらっしゃると思います。そういった方々との交流を通じて、学生の方にも働き方の重要性や多様性を伝えると共に、学び成長できる機会を提供できれば、私にとってもここで働く意味があると感じています。
(井上さん)
私たちの会社は、社員数や拠点数が多いことにこだわりはありません。雇用を増やすことよりも、それぞれが自分で生きていける力をつけていく方が重要だと感じています。
私は過去に多くの人数の組織をマネージメントした経験がありますが、それよりも個々の自由な働き方を尊重することが重要と思っています。自由な働き方とは、やるべき仕事をやることはもちろんですが、いつその仕事を行うかは個々に委ねるべきだと考えています。会社の取り組みを通じて、多くの人に自由な働き方の可能性を伝えたいと考えています。
また、個人が何かを始めようとする際には、0から始めるのは非常に大変であり、そのためにはある程度のプラットホームやサポートが必要です。株式会社イザンがそのプラットホームとなり、個々の取り組みを支援できるような環境を提供していきたいと思っています。これにより、個人が自分のやりたいことを実現しやすくなり、世の中に新たな価値を生み出すことが期待できます。
そういったことをやりたいという思いでやっていますので、そこの部分をブラさずにしていきたいですね。また、京都や伏見という地からやっていくことにも意味があると思っています。
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