top of page

【UTTOCOな人】佐野 光平さん Kohei Sano_vol.02 2014


佐野 光平さん (NPO法人 深草・龍谷町家コミュニティ、地域公共政策士※) ※地域公共政策士とは、セクターの壁を越え、協働型社会における地域の公共活動や政策などを主導できる人材が獲得した能力が「見える」仕組みとして、京都発・日本初で誕生したのが「地域公共政策士」という職能資格です。

龍谷大学深草町家キャンパスは、深草商店街の中に位置する町家を活用して、深草エリアに平成25年にオープンした龍谷大学の施設です。授業やサークル活動等で活用されるほか、伏見の様々な地域団体と連携し、地域活動・イベント等を活発に行っています。 そんな町家キャンパスに、今年度から新しく若手が加わったということで、お話を伺ってきました。 佐野さんは龍谷大学大学院 NPO・地方行政研究コースの出身で、活動への転機は、学生時代にNPO・市民活動を通して出会った多くの人々だったそうです。

NPO、市民活動との出会いが人生の転機 佐野さんは龍谷大学大学院 NPO・地方行政研究コースの出身で、龍谷大学の関係施設を管理運営するNPO法人深草・龍谷町家コミュニティへ就職されました。活動への転機は、NPO・市民活動を通しての多くの出会いだったそうです。 Q、NPO法人に就職されたということで、興味を持ったきっかけは何だったんですか? 大学1年生の時、環境への悩み等、大きな壁にぶつかり、体調を崩しました。それまでは、なんでも先生の言うことを聞く、自分の意見を持たない優等生タイプで、いわゆる「普通」の大学生でした。 壁にぶつかり悩む中で、「自分はこのままじゃダメなんじゃないだろうか?」と思い直し、「自分にも直さなければならない所は多いが、同時に社会にもよくない部分があったんじゃないか」と考える中で、社会課題に取り組むNPOやNGOに興味をもちはじめました。 「最初はNPOで働いている方々のモチベーションが不思議で仕方なかったんです。お給料もそんなにもらえるわけじゃないはずなのに、何故、彼らはイキイキと働いているんだろう。そしてその姿が輝いて見える。相手を知りたければ、敵情視察!相手の懐に飛び込んでしまえ!」 という思いから、インターンシップ制度を活用し、NPO法人テラ・ルネッサンス(以下テラルネ)の門を叩きました。 誘拐・拉致され、薬物やアルコールを用いて洗脳され、殺戮マシーンとして搾取される子ども兵の問題や、そもそも子どもでも扱える小型武器が流通している問題など、「それは明らかにおかしい!」と率直に感じる問題に取り組みました。 テラルネの職員さんや、ちょっと年上のお兄さんお姉さんインターンが、大学院で平和構築や紛争解決に関する研究していたり、留学を経験していたり、とてもエネルギーやパワー、スキルをもっていて、自分なりの意見をしっかり持ち、主張している姿をみて、「自分は今まで何を考えて生きてきたんだろう?」と恥ずかしくなりました。 ここで過ごした時間は今でも自分の考え方に影響を与えています。 国際問題から地域へ テラルネの活動を体験していく過程で、国際協力はとても大切なことだけど、課題の構造的なシクミを考えた時に、本当に変えていかなければならないのは、先進国社会や日本の足下の暮らし方なんじゃないだろうか?という気持ちが募っていきました。 Q、国際問題を取り扱っていた佐野さんが、なぜ地域に関心を持ったんですか? 国際協力において、現地支援活動はとても意義あることだけれど、『途上国社会の様々な問題を根本的に解決していくにはどうしたらいいのか?』と、自分なりに考えていく中で、この問題を根本的に解消するためには、先進国社会の暮らし方を見つめ直す必要があると感じました。さらに、過去に自分が挫けてしまった経験も踏まえて、『日本社会は「本当の意味で」豊かなんだろうか?』という疑問を持ち始めました。

地下に潜り、表面的には見えにくいものの、日本にも、いじめ、自殺、うつ、孤独死など、様々な課題が蔓延している状態で、本当に平和といえるのか?まずは、ここを平和にしなきゃいけないんじゃないか? 日本にも平和じゃない部分が見え隠れするのに、日本から世界平和など実現できるのかと考えていくうちに、日本の地域社会から平和を発信したいなという考えに至りました。 思いだけでは何も解決できないと痛感したインターン生活を終え、『これらを解決する知識や知恵をもっとつけたい!』という気持ちから大学院へ進学しました。 高校から大学への進学は周囲がそうであるという理由で同じルートに乗って、深く考えず進学してしまいましたが、大学院へは「知識や学問的な基盤がないと何も変えられない、インターンの時の先輩のみなさんに少しでも近づきたい」という明確な意志を持って進学した事がとても大きかったですね。 Q、佐野さんにとって大学院はどうでしたか? 学問と向き合うことが、これほどまでに奥深く・厳しいのかと痛感しました。非常に辛かったです。しかし、それ以上に、有意義な2年間でした。知識の軸ができ、特に大学院を修了しても生涯勉強していきたいという姿勢が根付きました。『社会を変える』というよりも、『もっと社会をのばしていく』という事を考えるようになりました。 国際協力でもそうですが、知らなきゃそれはそれで幸せだったこともあると思います。僕が見てきたアフリカ社会での問題が、根本的には先進国の贅沢な生活から起因していることも多く、それを知らずに生きていくこともできるんですが、知ってしまったからには伝えていく責任も感じました。 知ったからには、違う国の人たちにも思いを馳せながら、自分自身のライフスタイルや生き方にも反映させながら、その人たちも含めて持続可能な社会を日本からつくっていきたいという思いが湧きました。 こういった思いを、『産・官・学・民』のどこから関わっていくのか、ということから「教育×まちづくり」をテーマに飛び込もうという事で、今回ご縁があって町家キャンパスに就職することになりました。

これからの町家キャンパスと自分の想い

Q、今後、町家キャンパスでどんな活動をしていかれるんですか? 自分自身が大学の外で学ぶことで、いろいろな事を得ました。悶々としていて、何かしたいけど、一歩踏み出せない。そんな学生たちに、自分たちひとり一人が未来をつくる世代なんだと気づいてほしいです。僕は、学生さんという原石を、磨き、輝かせることをアシストしたいんです。 そのために、学生に地域に出てリアルな社会を大いに学んでもらいたい。自分はアフリカまで行かないと感じ取れなかったことが、実は、1歩大学の外の地域に接することで、ゴロゴロ転がっているんですね。 僕から学生さんに「あれしろ」、「これしろ」と指示するのは簡単ですが、それでは、学生さんの主体的な学びを奪ってしまうので、学生さんには是非、自らの主体性で学びを勝ち取って欲しいです。最終的には、町家キャンパスで培った探求的な姿勢をもとに高等教育機関で学ぶ学生として、学術の大切さにも気づいて欲しい。 そこまでを含めて、高等教育機関の関連施設ではたらく者として、みなさんをサポートしていきたいです。 大学時代に一度挫けてしまったことがあるからこそ、悩み、弱さなどの当事者の気持ちに敏感になりました。悩みや弱さに対して可能な限り寄り添って、自分も周囲の人々にそうしてもらったように、1歩踏み出せずにいる人たちを輝ける舞台へと連れ出したいですね。 大学が地域へ出ていく先駆けとしてのNPO法人深草・龍谷町家コミュニティです。町家キャンパスは「キャンパス」という名称だけれど、「キャンパス」とは学びのコミュニティだと思うので、学生さんとともに、広く市民のみなさんとも学び合い、育て合えればと思っています。 テラルネもインターン時代は伏見に事務所を構えていて、大学院時代には伏見区役所深草支所でインターンをしていました。また、龍谷大学も深草・龍谷町家コミュニティも伏見にあり、たくさんの縁を感じます。 歴史的には深草は「軍都」であり、「戦争」の象徴のような場所でしたが、今はその跡地に大学等、教育機関や医療センターが集まる「学都」として「平和」を司るキーワードの多い場所です。 そのため、ここから、地域で「平和」を創っていけるのではないかと思っています。「伏見モデル・深草モデル」をつくり、地域から平和を発信していくことが野望です! NPOで食べていくという事にはまだまだ難しさもあるので、組織の安定性だけではなく、個人としても生き抜く力をもって、自分らしい生き方を愉しみながら体現していきたいですね。 これからのまちへ飛び出す方へひとこと! 優れた知識や技術も大切ですが、なによりも、まずは、探求的姿勢を持つということがすべての1歩!ちょっとでもくすぶっている人を、より良い方向へ導いていく事が僕の「生きがい」です。僕自身がお兄さん・お姉さんにそうしてもらったように、僕は次の世代を導いていきます。1歩踏み出せずにいる人は、是非、町家キャンパスまで会いに来てください。 【龍谷大学深草町家キャンパス】 〒612-0889 京都市伏見区深草直違橋6丁目303番地 TEL/FAX 075-644-7760 ※受付時間:開館日の11:00~20:00

閲覧数:210回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page