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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

【あのUTTOCOな人は今!?】田村 剛 さん Tsuyoshi Tamura_vol.03 2014


田村 剛さん(濃縮風景採集民 代表)

過去の号で取り上げたことのある方のその後を追跡する【あのUTTOCOな人は今!?】のコーナー。

今回は伏見に手軽に自分で作成できるピンホールカメラブームを起こし、2013年現在は秋田で活躍されておられる田村さんです。紹介当時の記事の最後には、現在の田村さんから伏見のみなさんへのメッセージを頂いております。

自由が残された場所 伏見

立命館大学院で仲間を募り"濃縮風景採集民”の活動を始めた田村剛さん。「風景」と「ノスタルジア」の接点を探すうち、ピンホールと出合いました。

濃縮された風景

服部(以下H) なぜ今ピンホールカメラなのでしょう。

田村(以下T)1枚撮影するのに、1~15分かかるので風景をよく観察するきっかけになると思いまして。

H ピンホールカメラの魅力は何ですか。 T 撮影時間です。現像するまで何を撮ったかわからないところも、心を映しているようで気に入っています。団体名の「濃縮風景」も、その人の中でじっくり濃縮された、思い出深い風景を知ろう、という思いを込めています。

レンズ越しの風景

H 9月9日に開催された「0.3㎜のものがたり~ピンホールカメラで伏見を撮ろう~」について教えて下さい。

T ステレオタイプ以外の風景もあるのでは、と思ったのが始まりでした。風景は、そこに物語があるかどうかの違いで、心に残るものとそうでないものに分かれると思うんです。個人の持つ物語を風景から抽出して、皆で共感できたら楽しいな、と。

ピンホールカメラはそのきっかけ作りに丁度いいと思いました。

H 実際にイベントを終えていかがでしたか?

T 「物語は作れる」というのが率直な感想です。撮影が長いと色々と考えますよね。その考えも写真に写っている気がしました。

レンズを通して観た風景をふとした時に思い出してくれればいいな(笑)。

H 開催地の伏見についてどう思われますか。

T いいところですね。団地があったりモダンな建物があったり…整備されていないの好きです。伏見は「自由」が残された場所ですね。既製品っぽくなくて、手作り感があるというか。

日常生活と風景 H これから挑戦したいことはありますか。 T 体験型イベントを通して、日常生活の視点が変わるきっかけを作りたいと思っています。ピンホールカメラだと風景に向き合えるので。デジタルカメラだと何でも気軽にすぐ撮れるけど、ピンホールカメラではできない。だからこそ風景に思い入れができます。現像して見ると自分の想像より何倍も味が出ているのも毎回の発見です。この感動を多くの方々と共有したいと思います。

現在の田村さんから 濃縮風景採集民では、伏見いきいき市民活動センターのお部屋をお借りして、2012年の9月と11月にピンホールカメラでまちの「風景」を見つけるイベント<0.3mmのものがたり~ピンホールカメラでふしみをとろう~>を開催させていただきました。 そのときご参加いただいた方から、納屋町商店街でピンホールカメラのイベントをやらないかとお声掛けをいただいて、2013年2月には「なやまちコミュニティホール」でもピンホールカメライベントの納屋町商店街版を開催しました。 2012年度は夏の終わりからの短い期間でしたが、伏見のまちの方のご協力のおかげで、3度のイベントを開催することができました。 現在は伏見を離れて、秋田駅から2駅の「新屋(あらや)」というところにある秋田公立美術大学の助手として働いています。 秋田も伏見と同様に酒造りの盛んなところで、県内のいたるところで醸造業が営まれています。 大学のある新屋もまた、酒だけでなく、醤油、みそ、そして魚を塩漬けして発酵させて作る魚醤のひとつ「しょっつる」などの醸造業が、いまも地場産業として残っています。 こういった醸造業に不可欠なのがやはり「水」で、新屋もかつてはこんこんと水の湧くまちだったそうです。それが住宅地の開発などにより、地下水脈の経路が大きく変わってしまったそうで、湧き水の量も減ってしまいました。 しかし、そのような現状でもまちの方々は、湧き水を愛し、そして活用するための努力をされています。そして、新屋はいまも、海、河川、池、水路、湧き水といった水資源の豊富なまちです。 わたしは、そのような新屋に、「あらやちゃぷちゃぷ大学」という水資源と水辺の新たな活用を提案し、実行する団体を、秋田公立美術大学の学生と一緒に立ち上げました。

5月に立ち上げてからまだ10ヶ月ですが、夏の間に公園の水路の定期清掃イベント(水遊び)を10回開催、地下水でバケツ稲とグリーンカーテン用の朝顔を育て、清掃で採取した泥を畑に入れてニンジンと玉ねぎを作りました。 冬には、収穫した野菜を湧き水で洗わせていただき、収穫祭としてカレーを作って掃除に参加してくれた学生たちと一緒に食べました。 この活動は、秋田市上下水道局、秋田市西部市民サービスセンター、秋田公立美術大学、新屋の町内会、そして新屋の地域の方々や学生、小学生にも支えられています。 新年度からも、このような活動を続け、もっと新屋の水資源の豊かさを市民が感受できるように頑張っていきたいと思っています。 また、活動を通じて、まちづくりにもどんどん関わっていきたいと思っています。 秋田は都会ではないですが、水や土や草や花、空気、空といった、自然のその力強さを、はっきりとした四季の変化とともに直に感じることができるところです。 北に行こうかなと思われたら、絶対に秋田をルートに入れるべきです!縄文時代からつづく、悠久の時を刻んでいる土地を味わいにきてください。

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