top of page

【UTTOCOな人】井上 雅晶 さん② Masaaki Inoue_vol.12 2015


株式会社時代屋の井上 雅晶 社長へのロングインタビューの第2回です。前回の第1回インタビューでは、小さな蔵元の美味しい日本酒を広めたいという思いから、時代屋が生まれていくお話をお聞きました。第2回は地元のお神輿の復活や伏見・深草への思い、地域活動について、お話を伺いました。

深草地域への思い

Q、井上さんは深草郷神輿保存会初代会長として、神輿の復活に尽力されたとお聞きました。井上さんにとって深草はどのような地域でしょうか。

藤森神社深草郷神輿保存会平成24年(2012年)(深草郷神輿保存会ホームページより)

深草への愛着はひと一倍だと思っています。人情もあって、下町の雰囲気で住みやすい非常によい街です。人間的にも尊敬できる方が多く、おもしろい方もたくさんいます。

しかし、住み心地がいいので、深草でずっと過ごす方が多いんですね。大学生が多くて外からの流入はあるんですが交流が中々ないんです。

30歳くらいまで私もそのような事を感じた事がなかったんですが、最近カンボジアや中国へ出店することを意識しだしたら、そこの若者と話をする機会が増えたんです。そこで出会う若者達は、豊かになるために、外や外国への意識がかなりあるんです。

みんなが外だけへ目を向けたら大変なんですが、地元にもっと新しい空気を入れていきたいという気持ちが涌くようになりましたね。

Q、深草エリアのひとつの特徴として、大学がたくさんあることがあげられると思います。時代屋も同志社大や龍谷大の近くに出店されていますね。大学生のイメージはいかがでしょうか?

大学それぞれのカラーがあると思うんです。店が京都教育大の近くにあったので、昔から京教生はよく見かけたんです。京教生はすごく勉強するなぁというイメージがありました。そのカラーが出ているのか、龍大生や京教生はなんとなく雰囲気でどっちの大学生なのか昔はわかったんですよ。

30年くらい前は時代も貧しかったので、ボロボロのアパートに入って、苦労して勉強してみんな先生になっていくんですよ。何とか身を立てていこうというエネルギーもあったのか、昔の学生さんはもっと元気だったような気がしますね。

今はどの大学の学生も一緒の雰囲気で、見分けがつかなくなってきました。みんなが豊かになったという事もあるのかもしれませんね。

地域を支えている人へ思いを馳せる

Q、神輿会の活動など地域の活動への精力的に取り組まれている井上さんですが、地域での活動において大事だと感じている事を教えていただけますか?

現在も神輿会の会長をやっていますが、藤森神社の神輿は氏子が支えあって購入している氏子の神輿なんです。この神輿が世の中の様々な流れから人の手で担げなくなってきたんです。それを何とかしなければと38年ぶりに人の手で担ぐ神輿を復活させる事ができました。

藤森神社の藤森祭は、京都でも有数の祭りだと思っています。 駆馬神事などが有名ですが、そのような神事も地元の方が神輿がない時代も支えてきました。やはりこのような地域の伝統を続けていくという事は大事なことです。神輿は私が死ぬまで必ず存続させるという気持ちで取り組んでいます。

こういった地域の文化や、日本の文化を支えるような地域の行事や活動、全ての地域の人が楽しめるようなお祭りを、誰がどのように支えていくのか。

地域での活動は答えも中々ないことだと思いますが、地域を担っている人がいて、楽しい事が行われている裏にそれを支えている人がいるという事にみんなが思いを馳せて、支えあっていく事が大事だと思っています。

活動の核を大事に

Q、様々なものが変化していくスピードがどんどん早くなっていく時代と言われていますが、伝統行事や地域の活動、市民の活動をしっかりと続けていくためのポイントはどのような点でしょうか。

なんでもそうだと思うのですが、『骨組み』が大事だと思っています。例えば神輿は神様が年に1回、神社を出て氏子の所に来てくれるんです。神様が乗っていてくださる事を嘘やと思ってしまったら、これだけ伝統として続きはしなかったでしょう。

こういう骨組みがなかったら、何でもよしとなってしまいますが、神様がのってくださっているという骨組みがあるから「これはできない」、「これはできる」という事が決まってきます。

守らなければならない「核や骨組み」を大事にしないと、地域活動も会社だってダメになってしまうんです。地域が地域であるために大事な事は、先人たちから身体に刻まれるような形で、脈々と受け継がれていると思います。

商売の話では、最近は若い方がお酒をたくさんは飲まない時代になってきています。ノンアルコールが流行ってきていますが、ノンアルコールをどれだけおいても本質はそこではないと思っています。

いろいろな事が変化していく時代に、誰かのためになっているという事や自分の存在している理由を失ってしまったら本末転倒だと思います。地域活動でもビジネスでもそこは一緒なんだろうと思っています。

閲覧数:104回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page