墨染駅近くにある「墨染ショッピング街」。藤森神社や墨染寺など商店街のなかに寺社も多く存在しています。今回は、会長の森本美津代さん、副会長の植道宣之さんにお話をお伺いしてきました。商店街・街路灯に対する思いや地域とともにある商店街の姿についてお聞きしてきました。
多様な業種でつながる、商店街
Q.「墨染ショッピング街」はどのような商店街でしょうか。改めて、教えていただけますか。
(森本さん)
「ゆりかごから墓場まで」という表現が適切かわかりませんが、なんでも揃っており、珍しいという話をしています。寺社、保育園、学校もあり、病院や美容院も多くあります。ここまで多様な業種が商店街のなかに揃っていることは少ないと思います。商売と関係ないにも関わらず、協力してくださっていることがありがたいです。
商店街の会員に勧誘した際に、快く入ってくださるところもあります。銀行さんや郵便局さんなどが商店街の会員さんになってくださっています。そのような商店街は少ないと聞きます。会員さんは小売店にこだわっていないため、みなさんがイメージされるような小売店などが多い商店街の概念とは、少し異なるかもしれません。
また、会員でなくともイベント時には協力してくださるところもあります。そちらは先代の会長がパイプ役をしてくださっています。
(植道さん)
他の商店街さんと同様に墨染ショッピング街も高齢化と後継者不足、大型スーパーにお客さんがながれ、廃業されるお店が多くありました。しかし、最近では、墨染ショッピング街周辺では新しくお店を始める方が増えてきました。本当にありがたいことです。
そして、みなさん協力的です。「墨染を盛り上げたい」、「墨染が好き」という思い、墨染への愛がある方が多いですね。
Q.墨染ショッピング街では、オリジナルの手書きマップを作成されていますね。こちらはどのような思いで作成されているのでしょうか。
(森本さん)
墨染ショッピング街は、すずらん灯と言って丸い電球が2つデザインされた街路灯がメインストリートに設置されています。街路灯は商店街の個性を表しています。すずらん灯は、商店街の会員さんに絵を描く方がおられ、その方がデザインされたと聞いています。設置当初は、50以上あった街路灯ですが、「敷地内にあるため撤去してほしい」や「店舗改装や改築のために撤去してほしい」などの理由により、数は減少しています。
商店街の会員になっても、自分のお店が特別儲かるということはありません。街路灯を守るためだけのボランティア的な会員の形で続けていただくのは、「どうなのだろう」と思っていました。そう思っているなか、多くのみなさんに墨染ショッピング街を知っていただくという目的で手書きマップを作成しました。
マップを持ち、新しく会員になっていただけそうなところにお声がけに行きました。とても好評でスーパーにも置かせていただいています。また、私たちの商店街のシンボルである街路灯を維持していきたいという思いに共感し、商店街の会員さんではないのですが、ご協力いただいている会社さんやお寺さんもいらっしゃいます。手書きマップにはそのことも書いています。何か動いていると、協力しようという気持ちになってくださる方がいてくださることがとても嬉しいです。
ありがたいことに年に1、2軒会員さんが増えるのでマップは毎年更新しています。他の商店街さんからは、すごいねと言われます。商店街運営では、情報発信発信して、動くことは本当に大切ですね。
(かわいい手描きチラシは地域のみなさんにも会員さんにも大好評!)
まちの魅力的なお店を訪れるきっかけに
Q.地域行事やイベントにも積極的に関わっておられる印象があります。住民さんに直接会える、知ってもらえる機会になりますよね。
(植道さん)
そうですね。商店街の飲食店さんが出店すると地域のお店を知ってもらう機会になります。お店の場所や存在を知っていても、なかなか足を運ぶきっかけがありません。僕も、商店街の副会長をさせていただいているため、いろいろな商店さんに行かせていただきます。
実際、足を運んでみると、「これ美味しいやん。」、「わざわざ遠くで買わなくても近くでこんなにいいもの買えるやん。」などの新しい発見があります。そのような発見はとても大切だと思いますし、地域に素敵なお店があることはとてもいいです。そのようなことを発信していければいいなと思っています。
(森本さん)
ショッピング街だけでイベント等をやる力はまだまだありません。自治連合会さんやさまざまな施設さんと一緒に実施しています。そのようなみなさんのパイプ役になれるよう、私たち役員は頑張っています。
昔は、大売り出しやショッピング街だけでの催しも実施していましたが、今はそのようなことができるほどの小売店もありません。また、職種が異なるため、同一の日を設定しにくいです。まずは、飲食店さんを中心に、今後広げていきたいと考えています。
(深草支所でのマルシェ出店の際の様子)
Q.昨年(2022年)11月に「プレミアム商品券」の取り組みを墨染ショッピング街として実施されました。実施されて、いかがでしたか。
(植道さん)
想像以上に多くのみなさんがお越しくださいました。お越しくださったにも関わらずお断りすることもあり、申し訳なかったです。2日間、商品券の販売を10時から行いました。2日目は、10時過ぎには整理券がなくなりました。地域の商店で商品券を使用してくださり、循環が生まれているのはとてもありがたいです。「今度いつありますか?」というお問合せを今でもいただき、本当にありがたいことです。
(森本さん)
当初は、どれくらいの方が来てくださるのかととても不安でした。協力店、地域のみなさまが今回の商品券に協力してくださり、地域の消費者のニーズとしっかり合ったのだと思います。商品券の数には、限りがありますので、そのなかでどのように工夫するかということを考えました。
強みを活かして、これからも
Q.昨年(2022年)で、森本さんは会長7年目、植道さんは副会長3年目になりますが、印象に残っていることはありますか。
(森本さん)
私が会長を引き受けたとき、商店街としては下降線に入っており、ショッピング街を維持するかしないかという厳しい状況でした。会員数は、他のところに比べると多かったですが、動くことができる方が少なかったです。そのようななかで、同じ思いのお店の方と一緒に現状を打破する方法について話していました。そのなかで、マップをつくるという話になりました。やはり手描きマップの作成は印象的ですね。
病院さんや銀行さんなども会員として入ってくださっていること、ショッピング街がつくった街路灯であること、をご存じない方が多いです。私も会長になるまで知りませんでした。維持するためにはお金も必要ですし、会員数が増えなければ維持することはできません。街路灯のことをまずみなさんに知っていただくことが必要だと思いました。そのため、毎年作成するマップには、街路灯の維持について書いています。
「困っているので助けてほしい」とお伝えし、植道さんにも加わっていただきました。植道さんは、ショッピング街のお店に足を運んだり、SNSを更新したり、さまざまなことをしてくださいます。
(植道さん)
藤森神社の盆踊りや墨染寺の桜まつりは準備なども含め大変ですが、達成感があります。なにより会員のみなさんも喜んでくださいますし、「ありがとう」という言葉を聞いたときがとても嬉しく、やりがいを感じますね。
Q.今後の商店街さんとしての展望はありますか?
(森本さん)
異業種が集まり、一緒になり運営できているところは少ないです。そのため、1つのモデルになれるといいですね。どこの商店街も高齢化やシャッター街など大変な状況です。そのような状況を少しでも打破していきたいですね。
(植道さん)
商店街として賑わうといいですね。新型コロナウイルスの影響は引き続きあり、夜になると墨染も人が少なくなります。飲食店さんも新型コロナウイルスや円安、仕入価格高騰などで大変な思いをされているため、商店街としても盛り上げたいです。まちの商店が繁栄していかないと地域も活性しないと思います。また、ショッピング街に来たいと思ってもらえるような工夫をこれからもしていきたいです。
(墨染寺の桜まつりライトアップの様子)
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