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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

【伏見ローカル名鑑】地域と人と~かけはしの会_vol.3

更新日:2021年3月9日

 伏見区は、京都市の中でも65歳以上の高齢比率が高く、お一人で生活をされている方も多くいらっしゃいます。そんな伏見区中心に、ラジオを通した「つながり」づくりを行っておられる、「地域と人と~かけはしの会」代表葛山知佳子さんにお話を伺いました。葛山さんは普段、FM845のパーソナリティとしてご活躍されています。

        「地域と人と~かけはしの会」代表 葛山知佳子さん



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ラジオを通した、シニアの健康促進

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━━コロナ前の活動について教えてください。


 毎週火曜日の12時30分からの30分間、FMラジオに乗せて地域情報の発信を行っています。約20名の市民ボランティアの方に交代で予定を組んでもらい、1回3~5名のボランティアで放送を行っています。趣旨は「ラジオをお聞きのリスナーさんがお家にこもられることがないように、やさしい市民ボランティアの声で語り掛ける」というものです。明るく楽しい気持ちで外へ出て、社会とのつながりを感じていただく後押しをしたいと考えています。市民ボランティアの方は主婦が多く、賑やかな井戸端会議をしているような雰囲気でリラックスしてもらえるようにしています。町の人が心をこめて語りかけるというのも聞いてくれる人に寄り添い、思いを伝える方法なのではないかと思います。


 また活動3年目となる昨年2019年度からはお口の体操にも力をいれています。京都市が口腔機能訓練を重視され誰でも手軽にできて楽しい「お口の体操」のパンフレットを作られました。これを活用し、童謡の「春が来た」や、「どんぐりコロコロ」などの音楽をラジオで流して、曲に合わせてお口の体操を行います。ご高齢の方の中には、一日中誰とも話さない、家に閉じこもっているという人もおられます。そんな人にも誤嚥を防ぐお口の体操で声を出し、少しでも元気になってほしいです。

          リスナーさんとの交流の場である、公開放送



━━市民ボランティアはどのような方がいらっしゃいますか?


 最初はリビング新聞で朗読ボランティアの募集をし、その記事を見て活動に参加してくれました。伏見区在住の方が多く、50~60代の女性を中心とした方々です。男性もお一人いらっしゃいます。最初は、市民しんぶん伏見区版に掲載されている町のイベント情報などを読み、原稿に書き直して、聞いている方に伝わりやすいように話し方を工夫して、番組用に録音していました。しかし、次第にネタ探しをご自身でして頂くようになり、取材やインタビューなどをされる方も出てきました。

 生放送になってから、初めは緊張されていましたが、少しずつリラックスされ、できるようになっていらっしゃいました。そうするとネタ探しも楽しくなり、今ではフリーで話すと時間が足りなくなるほどいくらでも話すことができます。(笑)日常の健康づくりのこと、身の回りで気になる新しいこと、生活の中でのささやかな発見など主婦ならではの感覚での話題選びはすごく面白いです。

市民ボランティアさんと共にラジオ放送をされています



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ラジオを通して語り続ける意味、活動の大切さ

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━━活動のきっかけはどのようなものでしょうか?


 年を重ねることにより、新聞や回覧板などは、字が小さくて隅々まで見るのはしんどいという人もいらっしゃいます。また、新聞を取らない人も増えてきています。若い方ならインターネットを活用して情報を得た方が早くて便利!となるのでしょうが、インターネットを使いこなせないご高齢の方などは、ともすると情報弱者になってしまいます。しかし、そんなご高齢の方でもラジオのチャンネルなら合わせられるという人もいます。気分が優れない、元気がないと人付き合いを閉ざしてしまいます。そのような人がラジオを心のよりどころにして楽しんでいただけたらいいなと思います。

 活動の効果は大変見えづらく、私たちの語りかけが届いている実感も感じにくいです。でも一人でもそれで救えるなら、活動をした方がいいのではないか、そのような人に向けて語り掛け続けるというのが最初の立ち上げのきっかけです。



━━2021年度の活動について教えていただけますか?


 ラジオのスタジオから発信するということはリスナーと密にはならない環境なので活動継続には困りませんでした。一つ問題があるとすればラジオを放送する際に、メンバーがスタジオに集うことが密になることです。そのため今年は、私が進行役を行い、市民ボランティアの方は交代制で毎回1人来ていただく毎週二人体制で行っています。その二人も、マスクを着用したり、パーテーションを立てたり、ディスタンスを保ったり、対策をとっています。

 本来であれば、ラジオ局のスタジオは分厚い防音壁で囲まれた狭いお部屋で放送や収録をするのですが、コロナ禍の今は防音扉も窓も開け放って常に換気をしながら放送しています。電車の音もカラスの鳴き声も、スタッフの打ち合わせの声も聞こえてくることはありますが、少々のことはかえって面白いだろうということで対策を行っています。



━━これからの展望を教えていただけますか?


 かけはしの会は続けることに意味があると思っています。継続してずっとやっていきたいです。この伏見でラジオを通した繋がりをずっと保っていけたらいいなと思っています。

 「誰ひとり取り残さない」それがまさに私たちのSDGsです。持続可能で、寄り添い安心して暮らせる地域であり、助け合える人でありたいと思います。聞いておられるリスナーに向けて語りかけていますが、ボランティアメンバーの方にも楽しみながら無理のない範囲で活動に参加して頂けるように皆さんとも協力をして、一緒に年を重ねていきたいと思います



編集後記


 今回お話を伺い、僕にはあまり馴染みのなかったラジオの強みを感じることができました。現代の日本では少子高齢化が急激に進行し、高齢者の方を支えていくという社会に変わってきています。またコロナ禍の今、高齢者の方は外出に制限が掛かったり、人との関わりも減らさなければいけなかったりと弱い立場に立たされてしまっています。そんな今だからこそローカルラジオでの地域情報の発信、地域の人が語り掛けるという温かさを感じることができる活動の重要さに気付きました。葛山さんの強さ、伏見に対する思いを感じられる取材になりました。お忙しい中取材にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。


(市民ライター 細井辰哉さん)


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