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【For Localプロジェクト】NPO法人 ConoCo 塩谷舞海さんへインタビュー

更新日:2020年10月3日

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京都市認可小規模保育園を運営されているNPO法人ConoCoさん。子どもが心から安らげる環境を作り、一人ひとりの成長にあった丁寧な保育を実践されています。今回はConoCoさんの保育へのこだわりや、現在持たれている問題意識、そしてコロナ渦の中での活動などについて詳しくお伺いしました。

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Q.「もうひとつのおうち」という保育理念に行きついた経緯を教えてください。


家業が保育園で、一度そこを継ぎました。その園は、子どもが150人もいる保育園で、みんなで一斉にご飯を食べる、トイレに行く、そして同じ遊びをするといった、いわゆる「一斉保育」を行なっていました。「一斉保育」は、現代の保育スタイルの主流になっています。

しかし、毎日どこかで泣き声が聞こえるといった状態を目にしていたこともあり、その保育スタイルに疑問を感じていました。子どもの本当の安らぎ、ありのままの成長を育む保育の必要性を感じたことが、「もうひとつのおうち」を目指したきっかけです。

また、子どもは環境で育つと言われているため、「子どものそばにいる大人も幸せであるべきだ」と考えています。そのため、保護者や職員との対話を大切にし、信頼し合える関係性を築くことで、子どもはもちろん、保護者と職員にとっても「もうひとつのおうち」になることを大切にしています。


Q.子どものありのままの成長や自発性を育むためにどのような工夫をされていますか?

ひとつは、“待つ”ことがとても大事であると思います。大人は一日の見通しが立つため、どうしても効率的に動き、子どもに何でもやってあげてしまいがちです。しかし、それは子どもの自発性を奪ってしまう事にもつながると考えています。子どもは、一日の見通しが立たない中でも、その瞬間で出来る最大限の成長をしています。そのことを理解して、その子が自分で考えて行動することを待つことが重要であると思います。

ふたつ目に、 “表現を止めることや否定はしないこと”です。例えば、子どもが描いたものに対して評価などをしてしまうと、子どもが大人の顔色を窺うようになってしまいます。また、子どもは自由に表現しているのに「これは何を描いたの?」と聞いてしまった際、それが説明できないと、子どもの表現はそこで止まってしまいます。私達は“発達の黒子”として、子どもが自ら考え行動することや、自由に思っていることを表現できる環境を作ることを大切にしています。


(子どもが自由に表現した絵)

Q.現在の保育の課題はどういった点であるとお考えですか?


近年、急速に保育施設が増えました。しかし、それは働かないといけない人が増え、子どもを預けられる場所が必要になったという、「“子ども主体”ではなく“親主体”」で増えたという側面があります。保育が子どもの将来にどう影響するかという点は、倫理の問題から研究が難しく、解明されていない点も多いです。現代の保育園で行われている一斉保育は、やりたい事が見つからない人や自分に自信がない人が世の中に増えている一因ではないかと考えています。保育は誰もが通る道なので、親になる世代の方たちにも保育について関心を持ってほしいと考えています。


Q.ホームページや施設の様子を見させていただき、お子様の「社会性」を養うことを意識されていることが伺えましたが、その点も重要視されていますか?


社会で必要な力を養うことはとても大切にしています。人は人と関わってしか生きていけないため、小さいころからたくさんの人と関わり生きていって欲しいと考えています。

また、桃山のおうちでは、おやつに使う材料の買い物に子どもを連れて行くこともありますし、道具の片付けなども子どもの見える場所で行っています。子どもは大人の思っている以上に、大人のことをよく観察しています。そのため、子どもの見えない場所で大人が済ましてしまいがちな生活に必要不可欠な動作も、敢えて小さい頃から見せることは子どもの成長の為にもとても重要な事であると思っています。


Q.コロナウイルスの影響で活動に変化はありましたか?


私達の業種は、自分達だけの都合でテレワークに切り替えることは不可能ですし、幼少期は成長の為に、人とのふれあいが一番大切な時期です。体調管理を徹底して保育を行い、子どもの発達に影響がないように心がけました。

それでも自粛期間は、登園するべきかどうなのかわからない保護者の方もいたので、オンラインでの面談を実施していました。この期間、家からも出られず、ずっと子どもと一緒に過ごす状況に苦しさを感じてしまう方が多かったです。そういった方に向け、子育ての近況をお聞きすることなどを通じて、保護者の心のケアにも力を入れて取り組みました。

Q.寄付の方法はどういった方法がありますか?また、どういったことに使いますか?


ホームページでお問い合わせいただくことも出来ますし、間もなく日本財団のCANPAMサービスというサイトでの寄付の受付も開始されるので、そちらで寄付していただくことも可能です。

寄付していただいた資金は、新しいおもちゃを試すことや、職員が保育の質向上のための研修を受ける資金として使用するなど、全て子どものより良い成長の為の環境づくりに充てさせていただいています。


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ただいまHPリニューアル中につき旧名称になっております


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担当スタッフからのひとこと


園の子どもが好奇心旺盛に遊びながらも、とても落ち着いている姿を見て、子どもの安心感を生む保育の重要性を感じました。また、お話をお伺いしたことで、一斉保育について見直し、保育の在るべき姿について考えるきっかけとなりました。塩谷さんは「保育園によって保育スタイルはそれぞれであるから、家からの近さなどではなく、きちんと行われている保育を見て、お子様を通わせる園を選んでほしい」とおっしゃっていました。皆さんも是非、子育てをするときのために、このような視点を大切にしていただきたいと思います。

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