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【For Localプロジェクト】認定NPO法人 アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 事務局長の野田沙良さんへインタビュー

最終更新: 7月19日

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NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会(以下アクセス)、事務局長の野田さんにお話を伺ってきました。平和なアジアを目指して、フィリピンで格差に苦しんでいる人への支援や、日本でも世界の課題に目を向けてもらおうと日々活動されています。

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Qアクセスは設立してから30年以上活動されている、NGOでは歴史のある団体だと思います。どのような経緯で今のアクセスができたのですか?


もともとは「タカラブネ」という製菓会社が社会貢献活動のために、1988年にこの団体を立ち上げました。当初は日本で暮らしている外国人の困りごとを解決するために、留学生や日本で働いていてトラブルに巻き込まれた人などのサポートをしていました。しかし、貧困・人権侵害・紛争のないアジアをつくりたいという思いをもつメンバーが集まっていたため、海外にも現場を持つことになり、当時のメンバーの一人がフィリピン人ということもありフィリピンで活動を開始しました。設立2~3年後以降は、スタディツアーで様々な方をフィリピンへ連れていく取組を行なっています。ツアーに参加した方がフィリピンのことを大好きになり、同時に過酷な現状を見て「これはおかしい!何とかしたい!」と思うようになりました。そのような方達が積み重なったことで、今のアクセスができています。



Q.フィリピンにはどのような課題があるのですか?


 フィリピンは国全体が貧しいわけではなく、格差がとてもある国です。人口は一億人程度で、そのうちの約25%の人が貧困状態に置かれています。私たちはその生活が苦しい25%の人たちと関わってきました。飢餓で命を落とすということはなく、食べていくことはできます。ただ海が荒れ、漁に出られない時期は、1日2食やご飯に塩をかけたものだけで生き延びる時期があります。


(授業を受けることができず、見学のみの子どもの様子)


 また、とても貧しい家庭の子どもは途中で学校を辞めるケースが少なくありません。約6人に1人の子どもが小学校を卒業できない状況です。10年前、20年前に比べると、今小学校に行くことができる子どもは増え、状況は緩やかに改善しています。しかし、依然として貧困状態の25%の人たちの生活はかなり厳しいです。



Q.アクセスではどのようなことを意識して活動されているのですか?具体的な取り組みも踏まえて教えていただきたいです。


 アクセスの活動は、2つの柱があります。

1つ目は「子どもに教育」です。アクセスでは、子どもが学校に行くことができるようにするため、子ども教育支援プログラムを行なっています。

学校に行くのに必要な学用品を提供することと併せて、児童労働や貧困、学校でのいじめ、先生からの体罰、家庭内での虐待等が理由で学校へ行くことができなくなる子どもたちに対して、子どもの権利セミナーや補習授業を行なっています。子どもの人権侵害が起こさないためには、「子どもの権利とは何か?」ということを子どもも大人も理解する必要があります。また、「権利とは何か」をわかっていても、自分が権利侵害をされたときに、自分の言葉で自分の気持ちを表現する力や人に助けを求める力が身についていなければ、困った状況を乗り越えることが難しいです。

そこで、子どもが自分のしんどさを話し、人に頼り、助けを求めることで問題を乗り越えていける「生きる力」を養う授業を行っています。現在、その成果が少しずつでてきています。いじめられていた子どもや、先生に体罰を受けていた子どもが、きちんとそれを大人に相談できるようになってきました。


(「生きる力」を養うために、補習授業を行っている様子)


加えて、保護者にも子どもの権利セミナーを行い、親同士が助け合い、困りごとを解決できるサポートをしています。最近では、10人程度の保護者が相談し、子どもが栄養をきちんととれるようにするために、ビタミン剤の費用を貯金するプロジェクトが自発的に取り組まれました。私たちは、当事者が協力し合うことで、問題を自らの手で解決できるようになることがとても大事と感じています。その成果が最近出てきたように思います。


2つ目は「女性に仕事」です。働きたい女性と若者に仕事を提供する取組としてフェアトレード商品を作り販売しています。まだ規模はとても小さいですが、去年は6人がフェアトレード生産者として活躍しました。



写真の女性は、ココナッツの殻をきれいに磨いてお皿を作りました。その他にも、ピアスやネックレス等のアクセサリー、クリスマスカードを作り、それらを日本でフェアトレード商品として販売しています。取組の背景として、フィリピンの農村では男性は農業・漁業などの肉体労働の仕事がありますが、女性は肉体労働をすべきでないという価値観が根強く残っています。そのため、夫に先立たれた人や離婚した人は生活が苦しくなります。また、男性が農業で稼いでくるお金だけで生活ができる家庭は少なく、いくつかの仕事を掛け持ちしないと生活するのは難しいです。

その中で、女性が家事・育児の合間にできる体力を必要としない仕事として、フェアトレードの仕事は喜ばれています。ある女性は、子どもの粉ミルクを買えるようになったと喜んでいました。他にも、これまで家族間の話し合いに参加することができなかったが、フェアトレードの仕事で経済力が付いたことをきっかけに家族での話し合いに参加できるようになったという女性もいます。そのような意味では、経済的な力が女性につくと家庭内での地位向上にもつながることを20年間、取組を行うなかで実感できるようになってきました。このようなフェアトレードの活動はまさに女性のエンパワーメントといえます。


私がフィリピンに行くと、多くの人が「子どもを学校に行かせたい」と言っているのを耳にしました。「支援をしてもらえるのも嬉しいが、働いて稼いだお金で子どもを学校に行かせることができるのが一番嬉しい」と言っていました。そこから、この2つの柱を軸に活動しています。



Q:アクセスは伏見区に日本での拠点があります。フィリピンでの活動の他に日本で大事にされていることはありますか?


 私たちはフィリピンでの活動の他にも、日本の若者をエンパワーメントするということも大事にしています。日本では、高校を卒業し、大学に入学しても社会課題に触れる機会は多くないと思います。日本も世界も課題が増える中で、そういう若者ばかりになってしまうのは少し寂しいです。そのため、スタディツアーやボランティア活動を通して社会に目をむける若者を増やすこと、日常生活で少しでも社会と繋がるきっかけを提供する団体であり続けたいです。また、自己犠牲ではなく、自分のためにもなり、人の役にも立てる活動の輪を広げ続けたいです。先日、コロナ禍で食べるものにも困っているフィリピンの人たちに、日本で寄付を募って食料支援を届けました。すると、フィリピンの人たちがとても喜んでくれて、そのことが私の喜びになりました。このように、何かを人に分け合うことで自分も幸せな気持ちになるのは人間の特性だと思います。



Q:アクセスでは、現在クラウドファンディングをされているとお聞きしています。

それをするに至った経緯や内容を教えていただけますか。


 現在、アクセスは子どもとお母さん約460人とフェアトレードの生産者6~10人の合わせて470名程度の生活を支える活動を行っています。それらの活動を行うには、1年で約2200~2400万円必要となります。収入源は、寄付やスタディツアーの旅行代が主です。毎年、約60名の日本の若者がスタディツアーに参加しています。今年は、新型コロナウィルスの影響で海外に行けなくなってしまい、スタディツアーの参加費収入が全くありません。1年間の事業予算2400万円うち、500~600万の収入がなくなるということを意味しています。このままでは、今年の冬には資金繰りが回らなくなってしまいます。

アクセスは、この存続の危機を回避するため寄付金150万円とマンスリーサポーターを85名集めるクラウドファンディングを実施しています。マンスリーサポーターとは、月々1000円がクレジットで引き落とされるというものです。新型コロナウィルスの影響で、日本でも大変な方が多くいらっしゃると思います。その中で、大きく収入が変化しておられずフィリピンのことが気になる方、フィリピンが好きな方、フィリピンと縁がある方、もしくは日本の若者の育成を大切に思い、共感していただける方は、アクセスの活動に対して寄付をしていただきたいです。アクセスを存続させることは、フィリピンの子どもたちの支援、女性への支援、日本の若者育成にお金が使われます。少しでもご協力いただけると嬉しいです。



認定NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会

クラウドファンディングHP:https://camp-fire.jp/projects/view/155522

アクセスHP:https://access-jp.org/

アクセスFacebook:https://www.facebook.com/accessPhilippinesJapan/?ref=page_internal


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〜伏見いきいき市民活動センター担当スタッフからのひとこと〜

今回アクセスさんのインタビューを通して、事務局長の野田さんの活動への想いや熱量がすごく伝わってきました。フィリピンの子ども達や働くことが難しい女性が人に頼ることも含めて自分達の力で生きていけるような教育や仕組みをつくろうという姿勢は市民活動センターである私達も見習うべき姿であるように思いました。

 またアクセスさんは、高校生や大学生のインターン生も精力的に活動されています。Facebookで活動の発信もされているので、アクセスさんに興味を持たれた方はぜひ、そちらも見ていただいて寄付についてもご検討していただきたいと思いました。





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