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【伏見ローカル名鑑】ADDress 京都伏見_vol.9

更新日:2021年3月9日

 今回登場いただくのは、定額制の多拠点コリビングサービス「ADDress」の事業企画で戦略拠点開発責任者をしている高本昌宏さんと、京都府内の中堅中小企業向けの経営コンサルタントをしながらADDress京都伏見の共同家守をしている石井規雄さん。今回その拠点、「ADDress京都伏見」でお話を伺いました。


    「ADDress京都伏見」高本昌宏さん(写真左)石井規雄さん(写真右)



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自分らしく過ごせる地域での居場所を見つけて、人生をより良く生きていただきたい

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━━ADDressの活動を詳しく教えてください。


高本: ADDressは、日本各地で運営する「ADDressの家」に定額で住めるサービスです。 

   自分の居場所を自宅以外にも持ちたいと感じていらっしゃる方が、さまざまな地域と

   関われたり、ADDressから生まれる分散型コミュニティにつながって、人生をより良

   く生きていただきたいという想いで立ち上がったサービスですね。

    「人口減少」や「空き家問題」を、ネガティブに捉えるのではなく、人口を首都圏

   から日本中にシェアすることで過疎化地域にも新たなコミュニティが生まれ、活性化

   していく仕組みです。日本中のお気に入りの拠点へ、泊まるのでなく、ぜひ暮らしに

   行って欲しいですね。

    ADDress京都伏見は、もともと学生寮として提供していた築60年の「もゝ山荘」

   をフルリノベーションしてできました。地域の人とのつながりを作る拠点として、僕

   や石井さんも関わっている京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)とゆるや

   かに連携しながら運営しています。京都市ではADDressの提供する仕組みが旅館業法

   下でのサービスと解釈されている現状があり、丁寧に協議をさせていただきながら現

   在は契約者専用のシェアハウスとなっています。


━━ADDress京都伏見の会員さんはどのような方がいますか。


高本: ADDressの会員さんは、観光のみならず、「コミュニティとしてのつながりが欲し

   い」「もっとディープな地域のスポットを知りたい」「面白い人がいるお店や場所を

   教えて欲しい」という方が多いですね。

    多拠点ぐらしをサポートする家守が、会員さんと地域をつなげていくことで、人と

   地域のつながりや、会員同士のつながりがどんどん生まれていき、分散型のコミュニ

   ティが形成されていきます。

    例えばADDress京都東寺〜分散型ゲストハウス Kamon Inn(カモンイン)のマネ

   ージャーさんが家守として、ご自身が3ヶ月歩いて作ったまち歩きマップを使って会

   員向けイベントを企画したりしています。ガイドブックに載っていない場所ばかり

   で、普段は書店で夜は居酒屋になる「遠藤書房」さんなど強烈な店が多くて感動しま

   した(笑)



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人・地域・自然とのつながりが生まれていく場所

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━━石井さん、高本さんにとって伏見はどのような場所ですか。


石井: 「色々な出会いを作ってくれる場所」だと思っています。人とのつながり、地域と

   のつながり、自然環境とのつながり。色々なつながりの接点の起点となっているのが

   伏見で、自分の中でとても大きな存在ですね。


高本: 僕は「一番伸びしろがある街」だと思っています。伏見は秀吉の時代から徳川家康

   はじめ多くの大名がいた当時の首都なんですよ。ADDress京都伏見がある桃山筒井伊

   賀東町も、かつては伊賀国を治める筒井順慶で知られる筒井家邸があったり、近所に

   古田織部邸宅があったりと歴史好きにはたまらないエリアなんです。そうしたことを

   紹介しつつ、若者もシニアも自分のやりたいことができる面白い街にしていきたいで

   すね。



━━石井さんは、伏見で茅葺屋根職人をされていたんですね。詳しく聞きたいです。


石井: 私は、3年前まで茅葺屋根職人をやっていたのですが、茅葺のヨシが取れるのがこ

   の伏見の宇治川の河川敷で、ADDress京都伏見から2キロ弱ぐらいのところにありま

   す。

    最近、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコ無

   形文化遺産として登録が決まりました。「ヨシ刈り」というヨシを刈る技術も登録さ

   れたんです。

    自然と人との関係や、長らく培ってきた地域固有の文化が認められたんだと思いま

   すし、持続可能な社会を考えていく上で、日本が長らく大事にしていた技術や価値観

   が評価されて良かったです。



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伏見エリアの価値を高める活動をやっていきたい

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━━伏見をどのような場所にしていきたいですか。


高本: モデルとなるイメージは川港のまち、アメリカオレゴン州のポートランドです。伏

   見にも伏見港という川港が昔あったことと、伝統的な産業の根っこがあり共通した魅

   力があります。

    ポートランドは、長年の住民が主体になったまちづくりが成功していてニューヨー

   クやLAの若者が「やりたいことをできる街」として移住したくなるような面白さや

   可能性を孕んでいる街です。例えば若手のデザイナーが、豊かな自然や文化に惹か

   れ、移住しながら伝統的なハチミツやクラフトビールなど6次産業製品を独自に開発

   しながら起業するなど、新旧が融合する素敵なことが起きている街だと思っていま

   す。伏見をそんな「やりたいことをできる街」にしていきたいです。

    現在、「伏見港」については京都府・京都市が地域と連携しながら、国土交通省の

   「みなとオアシス」登録を目指しています。ADDress京都伏見でも、こうした動きと

   も連携しながら中長期的に伏見港公園の周りに移住してもらったり、イベントやマル

   シェをやったり、地域の面白い人たちと一緒に「場づくり」のところを企画していき

   たいと思っています。



━━最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。


お二人: ADDress京都伏見では現状、コロナ禍のなかでイベントも行いにくく、かつ新し

    いイノベーションと現行法制度との確認を踏まえた「簡易宿所」化に向けた準備な

    ど課題が多い状況です。そんな中でこそ、地域の方、地域の企業さん、学生さん、

    色々な人とのつながりを作っていきたいと思っているので、ぜひ一緒に伏見の価値

    を高めるプロジェクトをやりましょう。

     若者もシニアの方も大歓迎なので、ぜひ扉を叩いていただけると嬉しいなと思っ

    ています。



編集後記


地域住民から家をプレゼントされた会員さんや、地域のおばあちゃんに会いに行く会員さんなど、心が温まる素敵なエピソードばかりでした。私も、自分の居場所を広げて、人生を豊かに生きていきたいと思いました。高本さん、石井さん、取材にご協力いただきありがとうございました。今度はADDress京都伏見に遊びに行きたいと思います!

(市民ライター 浪岡直美さん)

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