伏見の音楽家、島袋さんは、個人での演奏に加えて、「音楽と人との関係性」、「音楽を通したまちづくり」に取り組んでいます。 今回はそんな島袋さんに、音楽の魅力と音楽を通したまちづくりについて、お話を伺いました。 音楽との出会いと音楽から一度離れた時に何があったのでしょうか? Q、音楽はいつごろから続けておられたんですか? 父は音楽教師をしていて、最近は大学で講師をし始めました。その影響で音楽をはじめて、子どもの頃はバイオリンを弾いていました。 しかし積極的に音楽を始めたというわけではなく、兄がピアノを弾いていたので、「違う楽器でバイオリンはどうか」と勧められたのではじめました。 発表会や親戚の結婚式で披露する機会はありましたが、周りが言ってくれたから演奏するという感じで、人に聞いてもらう喜びということはあまり意識したことがありませんでしたね。 専門学校、大学と音楽を続け、声楽を学んでいましたが、同級生の「音楽で食べていく」という真剣な姿勢との温度差に、徐々に「自分ここにいていいのだろうか」という気持ちになっていったんです。 そんな中で演劇と出会い、社会人劇団などにも所属し、自分には音楽以外にも秘められた何かがあるのではないか、と没頭していったんです。今思うとあれは逃げていたのかもしれないですね。 しかし、1回音楽を離れたその経験は今の活動に大きな影響を与えています。 人前で話す経験は中々ありませんので、話し方や、舞台の構成や、脚本等、総合的に見る視点を養うことができ、その時の経験が、現在の「お客さんとのコミュニケーションを楽しみながらの演奏」というスタイルにつながっています。 「気持ちいい」という感覚を大事にした音楽と活動 Q、演奏している時はどんな気分ですか? 一人で弾いているのはほんとに楽しいですね。 はじめはリズムに乗って弾いているのが楽しいんですけど、3、4時間弾いているうちに徐々にトランスみたいになってきて、楽器が『鳴りだす』っていうか、音楽が一人歩きしているような感覚になってくるんです。 京阪伏見桃山の駅の前でよく弾いているので、ぜひ聴いてみてください。 現在は音楽との関わり方がとても広がりましたね。昔は『音楽で人に認められるルート』があって、それにあこがれていたんです。 それはそれで今もいいとは思っているんですけど、今は自分だけの音楽とまちとの関わり方を、自分で作り上げていってるんだなという感覚がすごくあるんです。 今あるルートにあこがれるんじゃなくて、自分が気持ちいいと思える感覚を大事にしようと思っています。 Q、現在の音楽を通したまちでの活動について教えてください。 音楽の指導や出張演奏を行いながら、ぴあぴあコミュニティサポート合同会社の音楽事業に携わっています。 みんなに楽器を手にとってもらい、演奏してもらうプロジェクトや、知り合いの音楽家や、セミプロを招いて参加型の演奏交流会の開催、ストリートパフォーマンスが行える場所をまちに普及させるようなこともしてみたいと思っています。 さらに、遠出ができないケアハウスの方を対象に、手作り市と音楽を出張でお届けするような取り組みを行っていきたいです。 「ここはづ市」では音楽と手作り市の融合が起こっていて、ここはづ音楽祭を開いたんです。セミプロやプロの音楽家から、ドラムやジャグリング、吹奏楽も呼んで、楽しく演奏することで、外部から音に寄せられてどんどん人が集まってきました。 公私ともに音楽を軸にした取り組みを行っています。 音楽とまちづくりに共通していること
Q、音楽を通して「こんなまちになったらいいなぁ」というイメージはありますか? 日本って音楽に対して、一握りの人がやる事で、素人が人前で演奏しちゃいけないんだと思っちゃうところがあると思うんです。学生の頃にギターをかじった人も、「演奏してくださいよ~」とお願いしても、「人にきかせるものじゃないよ」と照れてしまいますよね。 音楽を少しでもやっていた人は、もっと『演奏してもいい場』がまちにあれば、気が向いたときにもっと音楽を楽しめると思うんです。『マラカスがあったら気軽に参加できる、音楽への関わり方を気軽に発見できるまち』になったらいいなぁと思うんですよ。 桃山音楽隊モモンガ!ではアイリッシュ音楽をベースとしながら、「音楽で人を地域を元気にしてしまおう」というテーマで、現在4人でいろいろなジャンルの曲を楽しんでいます。その時に「いいな!」と思った音楽をみんなで楽しむスタイルですね。 『モモンガ=寄せ鍋』って感じで、横笛担当ハリーくんがアイリッシュ音楽をやってるのでその曲調があったり、ギター担当藤崎さんが洋楽調、リコーダーでバロック音楽などを吹くオダキチさん、もともとフィドル弾きの僕はロック調のバイオリンも好きなんです。 ※伏見桃山音楽隊 モモンガ! http://www2.piersnpeers.com/momonga/ みんなが個性を持っていて、各々ほかに自分の音楽ができる場所を持っている。 「音楽性の違い」は当然ありながら、調整しながら、ひとつの音楽を作っていくんです。こんなところが『まちづくり』にとても似ているんじゃないかな。 色々な縁を深めるにも音楽がいいのではないかと思っています。もともと音楽が周りにあったのでやり始めたけど、今は好きで音楽に関わっています。 でもひとりではやっぱり今の環境は維持できないし、自分は音楽しか知らないんですよね。音楽がもっとまちに活かされるためには、活動した後に記録をとったり、次はもっといいようにしたいと思ったり。 そういうことを考えていく事は自分は苦手だけど、そこはぴあぴあのメンバーがサポートしてくれるんです。 音楽の専門家が思いついたことを、いろんな人と一緒に形にしていくことができるんですね。 「こんな事がやりたい!」というと、「こういう場所があるよ!」と紹介してくれる人もまちにいるんですよ。こんなんしたい!という思いの段階から引き上げてもらえるんですね。 いろんな人と話をしながら参加型の音楽を通した交流会が生まれ、現在の音楽事業を行っているぴあぴあと出会い、一緒に大きな夢をみんなで描くことができるんです。 将来的には「まちの音楽家さん」としてこのまちで音楽を創造していきたいですね。 究極的には、おじいちゃんになって引退したら、自分の創ったまちのパフォーマンススペースで、まちの様子を見ながら、ずっとバイオリンを弾いて暮らしたいんです。 これからまちへ出る方へのひとこと! 「まちに何かをしなくちゃ!」というより、「自分がこんなまちに住めたらいいな」というものがある場合は、ぜひそこへの一歩を踏み出して欲しいです! 【UTTOCOな人からのPR】 ・ソロ・フィドル演奏 出張引き受けます! 演奏1回1万円~(応相談) 連絡先:島袋貞則 TEL:090-8532-0568 Mail:norichorus@yahoo.co.jp ・ 交流演奏会に参加しませんか!? ジャンル、レベル、年齢問わず、どなたでも音楽を楽しめます! 日 時:4月27日 場 所:伏見青少年活動センター 参加費:無料[カフェ等は有料]