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執筆者の写真伏見いきいき市民活動センター

センター情報誌おむすび 特集記事(WEB版)

 2021年8月号おむすびの特集「伏見の源 お酒づくりの今と未来」のなかで文字数の関係上、掲載しきれなかった伏見酒造組合 理事長 増田さんのインタビュー記事を掲載いたします。こちらは、WEB特別編集となっております。ぜひご覧ください。





理事長としての仕事への姿勢




Q.伏見酒造組合について教えていただけますか。


 お酒づくりには、多くのお米が必要になります。まとまったお米を仕入れるために、組合も作られました。組合内では、お互いにライバル意識を持っていますが、困った時は助け合う関係性です。例えば、大手の酒造会社は技術的にも進んでおり、醸友会という組織もあり各酒造会社にも技術共有を行なうなどして助け合っています。

 組合では、以前から日本酒を若い方や苦手意識のある方にも飲んで頂こうとさまざまな挑戦を行なっています。しかし、それは簡単なことではなく永遠の課題と感じており、引き続き取り組んでいきたいと思います。


Q.増田さんは、伏見酒造組合の理事長というお仕事をどのように感じておられますか。


 この仕事には正解がありません。そのため日々の見聞の積み重ねが大切であり、それが楽しさややりがいにつながっています。組合員皆さんの協力のお陰で成り立ってます。

昔からある古いものの中に新しいものが隠れていると思っています。私が新しいものが好きということもあるかもしれませんが、意識して新しいものを探すのではなく、日々の伝統を守りながらそこに気づくことが大切だと思っています。


Q.伏見のお酒は全国的にみても、とても有名ですよね。改めてですが、伏見のお酒のアピールポイントはどのようなところでしょうか。


 もちろん水が美味しいことです。伏見区という狭い地域の中に23の蔵があり、酒造りに水を共有しています。伏見の水は、ミネラル分が多いです。ダイナミックで辛口のお酒がつくられる灘は男酒と言われ、伏見では、硬度が少し高くきめの細かい芳醇なお酒がつくられ、女酒と言われています。



手づくりでこだわりのある蔵元



Q.増田さんは、株式会社増田德兵衞商店の代表でもいらっしゃいます。会社の歴史を教えていただけますか。


 1675年(延宝3年)という年に創業いたしました。それ以上に古い先祖(お墓)はありますが、創業者は「増田德兵衞」で、名前は代々襲名し、私で現在14代目になります。

私共は、日本ではじめて、1964年にスパークリングのにごり酒を造りました。スパークリング(瓶内二次発酵)は、開栓時に噴き出すことが多く、お客さまからさまざまなクレームや意見をいただきました。にごり酒を造った翌年から、江戸時代の文献「本朝食鑑」を基に純米大吟醸酒を特別に作った甕(かめ)に貯蔵熟成させることも最初に試みました。また、その10年後に十年秘蔵古酒として販売しました。一番古いものでは、56年前の古酒を保有しています。酒を好み、詩や書画などにたずさわる有名な方々に愛飲されてきた酒です。


Q.お酒づくりのポイントはどのようなところにあるのでしょうか。


 私共は、「月の桂」が常に変わり続けるために、季節感と個性を大事にしてきた蔵元です。蔵人と一緒に手造りでいいところは残し、酒造りを行なってきました。また、最近では米や酵母は京都オリジナルのものを使うことを主として、京都産米の酒米の田植えや稲刈りをし、地元農家と協力して私自身も田植えをし、ほとんど無農薬で育てています。



今できることをこつこつと


Q.酒造会社のみなさんも新型コロナウイルスの影響を受けられたと思います。具体的にはどのような影響があったのでしょうか。


 やはり飲食店の休業や、お酒の提供自粛の要請による打撃が多くありました。社会では、お酒を外で飲むことがとても難しくなり、まるで酒や居酒屋が悪者にされました。そのため、家でお酒を楽しむ「家飲み」は増えています。とは言え、ご自宅の保管スペースや量の問題から一升瓶を購入される方は多くありません。そのため、買い手の需要は「捨てやすく安価な紙パック」のお酒や、普段より安価なお酒にシフトしているかもしれません。


Q.増田さんは、日本酒や和食を日本国内や海外に広める活動もされています。海外との間で新型コロナウイルスの影響はいかがでしたか。


 新型コロナウイルスが広がる前は、イベント等で海外に行くことが多くありました。しかし、新型コロナウイルスが世界的に広がってからはオンラインで海外の方と会議や商談を行なっています。今から新型コロナウイルスがおさまったときのことを考え、行動しはじめています。

また、海外からオンラインでのお酒の注文は増えつつあります。実際に、中国からオーダーメイドのお酒を造って欲しいという依頼などもきています。短期間では難しいため、継続性を考えながら進めていきたいと思ってます。


Q.最後に、伏見区に対する思いをお聞かせいただけますか。


 伏見区といえば、伏見稲荷大社と思われる方も多いですし、海外でも有名な観光地です。しかし、伏見区はとても広くて大きいです。伏見区には楽しく、魅力的なところがたくさんあります。京都・伏見を世界に発信し、もっとアピールしていけるといいなと思っています。




伏見酒造組合 HP


株式会社増田德兵衞商店 / 月の桂 HP

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